街行く100人どころか、おそらくは5人くらいに「パンの会社といえば?」と訊けば「山崎パン」は出てくるでしょう。
それほど有名な山崎パンとなれば、さまざまな噂がささやかれ、疑問に思う部分も多いことでしょう。
中でもよく取り上げられるのは「山崎パンはなぜ腐らないのか」です。
その理由には危険な添加物や臭素酸カリウムが使われているからだと言われています。
山崎パンはなぜ腐らないか、添加物の危険性と臭素酸カリウムについても併せて見ていきましょう。
山崎パンはなぜ腐らないのか
そもそもなぜ腐らないのかの前に、本当に山崎パンは腐らないのでしょうか。
というわけでそれについて調べてみたところ、山崎パンを含むいくつかのパンを同じ条件で放置してカビが生えるかどうかの実験がありました。
結果は他のパンとほぼ同じ、もしくはそれ以上のカビが山崎パンには生えていました。
つまり山崎パンが腐らないというのは、少なくとも言い過ぎの感があるといえます。
ではなぜ腐らないと言われているのか。
おそらくは品質改善のために臭素酸カリウムを使用していることを記載していることや、添加物が含まれているから腐らないはずだといった考えから、「腐らない」という大げさな言葉につながったのだと思います。
ただ、腐りやすい商品を作りたくないのは当たり前のことでしょう。
添加物の危険性・臭素酸カリウムって?
腐りやすい商品は作りたくないので、極力腐らない商品を作るためには添加物が使用されます。
特に山崎パンは添加物を大量に使うといわれていますが、真偽の程はわかりません。
ただ、確実に臭素酸カリウムは商品に明記されています。
品質改善のために使われる臭素酸カリウムとはいったいどんなもので、危険性はあるのでしょうか。
臭素酸カリウムとはカリウムの臭素酸塩で、化学式KBrO3で表される無機化合物ですが、理科の授業じゃないのでこのあたりは忘れてもらってかまいません。
臭素酸カリウム自体は不燃性ですが、他の物質を酸化させる作用があるために第1類危険物に指定されています。
加熱により分解し、有毒で腐食性のある気体が発生させる性質を持ちます。
危険物は第6類までに分けられ、第1類は「可燃物を酸化して、激しい燃焼や爆発を起こす固体」と定義されます。
要は可燃物をものすごく燃えやすくする物質で、危険物そのものは燃えません。
国際がん研究機関(IARC)では「グループ2B:ヒトに対しての発がん性の恐れがある」に指定し危険性を認め、国際連合食糧農業機関/世界保健機関合同食品添加物専門家委員会(JECFA)でも「遺伝子傷害性発がん性物質」に指定され、どちらも危険性として発がん性を指摘しています。
この危険性により世界各国では使用を禁止している場合が多く、日本でも発がん性について認識はしているため、1982年にパン以外への食品添加物としての使用は禁止されています。
臭素酸カリウムの魅力って?
危険物に指定されるほどの臭素酸カリウム。
そんなものをどうして添加物として使用していたかというと、パンを焼く時に臭素酸カリウムを生地に添加すると、小麦粉のたんぱく質に効果的に作用し、パンの品質(膨らみ方や食感)が向上するとされているためです。
こうして臭素酸カリウムのことを書くことで、この記事のボリュームも膨らむわけです。
なんで危険性を認めつつパンへの添加物使用はOKなの?
まずは添加物として臭素酸カリウムを使う場合、添加は30ppm以下、かつ最終製品に残留してはならないと規制され、そのあとから厚生労働省による使用自粛が要請され、パン関連の工業界では使用自粛の動きがありました。
2003年に日本パン工業会が、正常な製パン工程を遵守した場合には臭素酸カリウムは加熱により分解され、分析精度が向上した方法を用いてもパンから「残存が検出されない」と発表しました。
この発表により、山崎パンなどの一部メーカーは使用を再開し、厚生労働省は2003年3月にこれを承認しています。
つまり「臭素酸カリウムを使っても、最終的には残存が検出されないから使っても大丈夫」という結論です。
しかし既にビタミンCなどを利用した代替方法が開発されていることもあり、使用していない製パン業者も多いです。
また、臭素酸カリウムは残存が検出されないことが前提のため、使用したことが製品に表示されません。
そのため、臭素酸カリウムが使われているかどうかがわかりづらくなっています。
JECFAは発がん性の危険についての評価を現在も変えていないので、日本生活協同組合連合会は臭素酸カリウムを添加物に使うべきではないとしています。
ちなみに山崎パンも2014年2月より、製パン技術の向上によって臭素酸カリウムの使用をやめています。
山崎パンも臭素酸カリウムは使ってない?
最後の最後にしれっと書きましたが、現在では山崎パンに臭素酸カリウムは使われていません。
ただし、冒頭で書いた山崎パンは腐らないかの実験では、臭素酸カリウムを使ったパンが使われています。
そのため、添加物によって山崎パンは腐らないが言い過ぎであったことは変わりません。
山崎パンはなぜ腐らない?まとめ
腐らないはいいすぎでしたが、添加物によって腐りづらくしていたことは事実です。
そこに発がん性の危険がある臭素酸カリウムが使われていたこともまた事実です。
しかし現在では山崎パンも製パン技術の向上によって臭素酸カリウムの使用をやめているため、少なくとも臭素酸カリウムの危険性はなくなったといえるでしょう。
ただし、他の添加物に関してはわかりません。
添加物が入っていない食べ物を探すほうが難しい現代、どこまでを許し、どこが信用できるのかは常に調査をし続ける必要があります。
山崎パンなどに入っているイーストフード(アルミニュウム)はパーキンソン 病の原因の一つと聞きました。詳しく知りたい。